怖い話 都市伝説 「隙間女」

「隙間女」

とある大学に通っていたYが突然学校に来なくなり、連絡しても音信不通となってしまった。
仲良くつるんでいたEとOは、心配になってYのアパートを訪れた。

ピンポーン
E「おーいY、生きてるか~?」

返事はない。鍵もかかっているようだ。

E「なんだ留守か。」
O「もしかして単位落としそうだから、諦めて実家に帰ったんじゃねw」

そんな話をして帰ろうとすると、Yの部屋の玄関が開いた。

E「お、Y!いたのかよ!返事くらいしろよな!」
Y「…あぁ、ゴメン…。」

Yは根っから明るくて、正直言うとバカなヤツだ。しかし今は見るからに元気がなく、痩せて見えた。

O「なんだ具合でも悪いのか?助けてやっからSOSくらい出せよな~。」
Y「いや、別に体調は大丈夫だよ…。」
E「ってかちゃんと飯食ってる?」
O「お前はYの母ちゃんかw」
Y「…。」
O「あ!わかった!お前Mちゃんに振られたんだろ?」
Y「いや、そういうんじゃないけど…。」
E「ま~何があったのか、部屋入って話そうぜ!入った入った!」
O「いやここ、Yの家だからw」

いつものノリでズカズカと部屋に押し入る。
Yの部屋はいつも以上に散らかって、カーテンも閉め切ったままだった。

E「昼間はカーテンくらい開けろよな。」
O「さすが母ちゃんw」

するとYは

Y「いや、カーテン開けるなって言われてるし…。」
E「え?誰に?」
O「何?!もしかして女か?」
Y「あぁ…まぁ…。」
EとO「マジか?!」

しかしYの部屋は1部屋しかなく、どこをどう見ても3人以外の人は見当たらない。

O「え~と、女は帰ったのかな?」
Y「いるんだ。そこに。」

そう言ってYは、壁を指した。

E「おいY、お前大丈夫か?」
Y「いや…いるんだ。」

EとOは顔を見合わせた。
いるって言っても、そこには漫画がギッシリ詰まった本棚と衣装タンスしかない。

E「…どういうこと?」
Y「そこ…そこの隙間に…。」

どうやらYは本棚とタンスの隙間を言っているようだ。
EとOは恐る恐る、その隙間を覗いてみた。

およそ5cmほどの隙間には、有り得ないことに女性が立ってこっちを見ていた。

人が居るはずのないほんの僅かな隙間に、女性の姿が…。


そんな所に人がいるわけない。でももし居たとしたら…。
そんな恐怖への想像力が、この都市伝説を作ったのかもしれません。
「隙間女」は、江戸時代に書かれた随筆「耳嚢」にも似たような話が存在しています。
昔の人が怖いと思っていた話が、現代でもこうして都市伝説という形で語り継がれているのは面白いですね。
ちなみに同じような内容で男版の「隙間男」という話もあります。

「ついてきたお坊さん」

今年の3月ころでしょうか。
ある夜、眠っているとベッドの隣を誰かが通ったような気配がして目を覚ましました。

私は普段妹と一緒にベッドを並べて眠っています。
並べて、と言ってもベッドとベッドの間には人が通れるくらいの間が空いており、そこを誰かが通った気がしたのです。
その日、妹は友人とバスツアーへ参加しており、疲れたのか帰ってきてすぐリビングで眠ってしまっていました。
部屋には私しかいないのです。

すると突然身体が動かなくなりました。金縛りでした。
動かない状態ではありましたが、視界で目の端に映ったのは誰かが妹のベッドでうずくまっている姿でした。
その姿に気が付いた私の頭へ一番に浮かんだのは
「お坊さんだ」
でした。

そのお坊さんはうずくまって頭を抱え、頭を左右に振り取り乱している感じでした。
とはいえ顔や姿がはっきりと見えたわけではありません。影の様なイメージの様な姿を見たような気がしたのです。
なぜお坊さんだと思ったのかはわかりません。
1分くらいの金縛りが解けた頃には、ベッドには誰もいませんでした。

翌日、家族にその話をすると妹は驚いた表情で
「昨日のバスツアーでお寺に行った」
と言うのです。
有名な歴人の記念館に行った後、その近くにあったお寺のような建物も覗いたらしいのです。
私はだからお坊さんだったんだ…と納得しました。

私はどちらかというと昔から霊感が強く、「何か」を感じることがあり、何度かその姿を見たこともありました。
その際は悪寒がして物凄い恐怖を感じる時と、あー何かいるなと怖さを感じない時があります。
その違いは、きっと悪い霊か普通の霊かの違いではないかと、今までの経験で感じています。
昨日いたお坊さんは全く怖くありませんでしたので、妹についてきちゃったんだねなどと話していました。

その夜、眠っていると夢を見ました。

お寺の前で10人くらいのお坊さんが円になっていて、その真ん中に1人のお坊さんがうずくまっていました。
周りにいるお坊さんは数人が藁ほうきのようなものを持っていて、真ん中にいるお坊さんをほうきで叩いています。
そのお坊さんは頭を手で抱えながら、必死で耐えているようでした。

はっと気が付いて目が覚めると、その瞬間また気配を感じ、金縛りが起きました。
1分程の金縛りの間に、シャンシャンという鈴の様な音を聞きました。

翌日家族に
「夜、鈴の音がしなかった?」
と尋ねると、誰もそんな音は聞こえなかったそうですが、なんと妹が
「そういえば旅行から帰ってきた日、リビングで鈴のような音を聴いた」
と言うのです。

シャンシャンという音がしていたと。

やはりお坊さんと感じたのは気のせいではなかったのだと確信し、夢もひょっとしたらそのお坊さんが私に見せたものなのではないかと思いました。
きっと亡くなってからもずっと何かに苦しんでいて、囲まれて痛めつけられていた出来事を知ってもらいたい、助けてほしいと訴えたかったのかなという気がしました。

もちろん私の勝手な解釈ですし、お寺の夢とお坊さんの幽霊に関連があるのかは確かめようもありません。
しかし辛かったんだなと考えると可哀想な気持ちになり、ちゃんとお坊さんが成仏できますようにと空に手を合わせました。

その後、お坊さんが現れることはありませんでした。
お坊さんに何があったのか気にはなりますが、あまり深く考えないようにしています。